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高森明勅
2021.2.20 06:00その他ニュース

崇高な死、醜悪な死

吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏の作品『鬼滅の刃』。
夥(おびただ)しい死が描かれている。
取り分け、鬼狩り(鬼殺隊)の最強メンバー「柱(はしら)」と、
その敵である鬼の始祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)や
その手下、「十二鬼月(じゅうにきづき)の上弦(+下弦の壱〔いち〕)」
らの死に際、死に様が、一つ一つ丹念に描き込まれる。

両者の死は、全く対照的だ。

美しく崇高な死と醜く惨めな死。
ひたすら他者の為、公(おおやけ)の為の死と、
私利私欲、私情・私憤による死。
そのコントラストによって、それぞれのこれまでの生き方の隔たりが、
残酷なまでに浮き彫りになる。
まさに、“死が生を映し出す”構図が明確だ。

私自身は、産屋敷(うぶやしき)家当主でお館様(やかたさま)
と呼ばれた耀哉(かがや)の最期が衝撃的だったのと共に、
女剣士で唯一、非力ゆえに鬼の首を斬ることが出来ない
胡蝶しのぶの死に様に、最も“凄み”を感じた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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